The Policeの「Roxanne(ロクサーヌ)」は、1978年にリリースされたThe Policeのデビューアルバム『Outlandos d’Amour』に収録されている代表曲の一つで、後に彼らを世界的に知らしめるきっかけとなった名曲です。
The Police(ザ・ポリス)は、1970年代後半から1980年代前半にかけて世界的な人気を誇った、イギリスの伝説的なロックバンド。レゲエやパンク、ニューウェーブの要素を独自に融合し、洗練されたポップセンスと演奏力で音楽史に強い印象を残しました。
The Police 基本情報
The Police
結成
1977年、イギリス・ロンドン
活動期間
1977年〜1986年(2007年に再結成)
メンバー
スティング(Sting):ボーカル、ベース、作詞作曲
アンディ・サマーズ(Andy Summers):ギター
スチュワート・コープランド(Stewart Copeland):ドラム、パーカッション
バンドの特徴
The Policeは、パンクロックのエネルギーとレゲエのリズム感、そしてポップで知的なメロディを組み合わせた独自のスタイルで注目を集めました。
特に、スティングの高くてよく通る声と、スチュワートのポリリズミックなドラム、アンディの空間的で印象的なギターサウンドが三位一体となり、洗練されたサウンドを生み出していました。
主な代表曲
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Roxanne(1978)
売春婦への複雑な恋心を歌った出世作。 -
Message in a Bottle(1979)
孤独と希望を象徴する、彼らの代表的なアンセム。 -
Walking on the Moon(1979)
浮遊感あるレゲエ調の名曲。 -
Don’t Stand So Close to Me(1980)
教師と生徒の禁断の関係を描いたセンセーショナルな曲。 -
Every Little Thing She Does Is Magic(1981)
ポップなメロディと恋心を歌ったラブソング。 -
Every Breath You Take(1983)
世界的大ヒット。実はストーカーの視点という意外性が話題に。
アルバム一覧
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Outlandos d’Amour(1978)
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Reggatta de Blanc(1979)
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Zenyatta Mondatta(1980)
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Ghost in the Machine(1981)
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Synchronicity(1983)
特に最後の『Synchronicity』は、全世界での大ヒットとなり、「Every Breath You Take」は1983年の年間チャートを席巻しました。
解散と再結成
バンドは1986年に自然消滅的に活動を停止。
スティングはソロアーティストとして大成功を収め、ジャズやクラシックにも挑戦しています。
2007年には結成30周年を記念して再結成し、ワールドツアーを敢行。世界中のファンを熱狂させました。
文化的・音楽的影響
The Policeは、80年代ニューウェーブ/ポップロックシーンに強い影響を与えました。
また、3人という少人数でありながら、非常に豊かなサウンドを構築したことで、後進のバンドにも多大な影響を及ぼしています。
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レゲエとロックの融合
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パンクの精神とポップのバランス
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社会的テーマを扱う歌詞
こうした点から、商業的成功と芸術性を両立した稀有なバンドとして評価されています。
The Policeは、短い活動期間ながらもロック史に多大な功績を残したバンドです。
シンプルで洗練されたサウンド、美しいメロディと鋭い歌詞、そして音楽ジャンルの垣根を越えた独創性によって、今なお多くのリスナーに愛されています。
彼らの音楽は、1980年代の空気感を伝えるとともに、現代でも新鮮に響き続けています。
Roxanne 楽曲の基本情報
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曲名:Roxanne
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アーティスト:The Police
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リリース年:1978年
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収録アルバム:Outlandos d’Amour
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作詞・作曲:スティング(Sting)
楽曲の背景とテーマ
「Roxanne」は、売春婦に恋をしてしまった男の視点から書かれた歌です。タイトルの「ロクサーヌ」は、そうした女性の象徴として登場します。
歌詞は、主人公が「もう身体を売る必要なんてないんだ」「僕だけを愛してくれればいい」と、彼女の過去を受け入れつつ、未来を変えようとする姿を描いています。
Sting(スティング)は、フランス・パリのツアー中に、売春宿の近くを通った経験からこのアイディアを得たと語っています。
音楽的特徴
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ジャンル:レゲエ風のリズムを取り入れたロック
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特徴的なイントロ:ピアノのミスタッチと笑い声で始まる
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シンプルながら強烈なベースとリズム
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スティングの感情を込めたボーカル
レゲエのリズムとロックの要素を組み合わせたサウンドは、当時としては非常に新しく、The Policeのサウンドスタイルを確立する大きな一歩となりました。
歌詞の一部(意訳)
Roxanne
You don’t have to put on the red light
Those days are over
You don’t have to sell your body to the night
訳:
ロクサーヌ
もう赤い灯をともす必要なんてない
あの夜の仕事は、もう終わったんだ
夜に身体を売るようなことは、もうやめていいんだ
このように、愛と同情、そして現実との葛藤が織り交ぜられた切ない内容になっています。
文化的インパクト
「Roxanne」は当初、英国ではあまり注目されませんでしたが、アメリカでは徐々に人気を集め、The Policeのブレイクの足がかりとなりました。その後、この楽曲はロック史の中でも屈指の名曲として認知され、様々なアーティストによってカバーされています。
映画『ムーラン・ルージュ!』での「El Tango de Roxanne」は、この曲の持つ切ない情愛と苦悩の要素を、まったく異なる形で蘇らせた、見事な再解釈と言えるでしょう。
まとめ
「Roxanne」は、The Policeの出世作であり、売春婦への一方的な恋と救済願望という、ロックでは珍しいテーマを真摯に描いた名曲です。
シンプルなサウンドに込められた深い感情と、現実に踏み込むような歌詞が、聴く者の心を揺さぶります。
そして、その名曲が映画『ムーラン・ルージュ!』で新たな命を得たという点でも、音楽の持つ普遍性と表現力の豊かさを示す好例と言えるでしょう。